なんで私が芸能人ッ!?
來side
***************またも学園にて**************************************
俺は藤堂來。
ちょっと事情があって、芸能事務所で働いている。
今日は頼まれてある女をスカウトしに行くんだよな。
………まあ、スカウトするかしないかは俺が決めるけど。
そういや、ターゲットはどこにいるんだ?……ってか顔すら知らねぇんだけど。
確か、中等部とかいってたな。
時間がないから足早に中等部へ向かう。
………ん?
なんだありゃ。
校庭の隅を通る、奇妙な女子を見つけた。
なにしてんだ?
あっちって確か何もないよな?
つーか、普通あんな細道だれも通らねーだろ。
何故か気になってそっちに足をむける。
はやくスカウトしなきゃいけねぇのに、なにやってんだろうな、俺。
そして俺はその女子を追いかけた。
あ?
なんか落ちてんな。
さっきの女子の落としもんか?
……それしかないか。
俺が通ってる道はもう細道に入ってて、あの女子以外通ることはないだろう。
俺は落とし物を拾ってみた。
どうやら、生徒手帳のようだった。
この色……中等部か?
急いで名前を確認する。
そこにある名前。
奇遇なことに俺が探している名前だった。
そう、記されてる名前は、
矢城りま
だったんだ。
そうして俺は走りだしていた。
長いようで短い、この細道を。