なんで私が芸能人ッ!?
俺は矢城りまに事務所に入って欲しいということを伝えた。
何故かこいつは全く別の方面の事務所を考えてて(口には出てなかったけど、顔に出まくってた)、
一応俺が芸能事務所なっていうと本日二度目のすげぇ顔をしやがってまた吹き出しそうになっちまった。
………きっと今、俺はすごくポーカーフェイスで強ばった表情になっているだろう。
それはさておき、こいつと話してると本当にどんな頭してんだよって言いたくなる。
話が通じなさすぎて。天然なせいなのか?これが天然パワーってやつなのか?
けど、なんか変なこいつが、姉の言葉を出した途端余計に変になった。
いや、顔色が変わったんだ。
なんだ?姉貴コンプレックスでもあんのか?
俺にも、兄貴と妹がいるか、兄貴を妬んだことがないと言ったらまあ嘘になるだろう。
こういう家柄だしな。
つまり、こいつも同じなのか?
でも絶対に俺よりひどいよな。
これは、姉と同じ芸能界は厳しいか?
いや、それも裏を返せば………つーか姉を追い越すためならやってくれるかもしんねえ。
そう思った俺は、矢城りまを説得した。
……………俺が欲しかった言葉と、俺の素直な言葉で。
矢城りまも、はじめは渋ってたけど言ってくれた。
芸能界に入る、変わりたいって気持ちを。
強い力を秘めた目で。
その時から、俺の矢城りまに対しての見方は変わったと思う。
変わるってことは………変わるって気持ちを持つことは辛くて、大変で、逃げたくなるようなことなとを知ってるから。
俺だって、そうなんだから。