なんで私が芸能人ッ!?
「で、お前は?」
「はい?」
「自己紹介だよ、自己紹介。」
「あ……、楼藺学園中等部、3年A組の矢城りまです……。」
あれ?この人絶対私のこと知ってるよね?
スカウトにまで来たんだから。
ということは、私自己紹介する必要なくないですか?
「部活は?」
いや、調べてないんですか?
絶対聞かなくてもわかってる気がするんですけど……。
てか私が部活入ってるわけ無いよね?
自分でいうのもあれだけど、素晴らしいくらいの地味子なんで。
こんなんで部活とか………しかも入ってたらこの場にいなくない?
まあちゃんと答えますけど?
「帰宅部ですけど……」
「へ~、演劇部あるのに意外だな。」
だから、演技してるとこなんて見られたいと思えないんです~。
そもそも、目立つのって本当に無理。
………まあ、芸能人になるのにこんなこと言ってられないけど。
そして急に、予想していなかった言葉をかけられた。
いや、少しはしてたけど……。
「それと……一回眼鏡とってみて。」
その言葉を言われた瞬間、私の体が固まった。
………眼鏡は、私を守る道具だったから。
周りの目から。
周りの空気から。
全てから守ってくれる………。
周りと私を隔ててくれる、眼鏡………。