なんで私が芸能人ッ!?
*******************りまと來、車内にて***********************************************
でも怖くても、いつまでも眼鏡に頼ってたら芸能人になんてなれないよ?
変われないんだよ!?
自分にそう言って手を動かそうとする。
なのに。
手の震えが、おさまらない。
どうしよう………、手が動かない。
動かそうとするたび周りの目が頭に浮かぶ。
葛藤してるうちに、体までガクガクいってきた。
「おい、どうした!?大丈夫か!?」
先輩が聞いてくる。
でも、声すら出てこない。
震えが最高潮まで達する。
ああ、もう駄目だ………。
過呼吸の時みたいに涙が出てくる。
ーーーーふわっ
!!!!!!!??????
倒れそうになった瞬間、体が暖かいなにかに包まれた。
何事!?ってなったあと、先輩に抱きしめられたのだと気づいて押し返そうとする。
でも先輩はさっきより力を強めて、
「大丈夫だ……。大丈夫、恐いことは何もない。」
って子供をなだめるみたいに優しい声をかけてくれた。
その間ずっと頭をぽんぽんてしてくれていて、羞恥心とか以上に安心できた。
そうして、だんだん落ち着いてきて、ちょっとずつ先輩に眼鏡のことを話す。
昔の記憶とか、恐怖とかで頭がごちゃごちゃになってしゃくりあげながらになっちゃったけど。
でも先輩は、頭を撫でながら何も言わないで聞いてくれた。
先輩は、不思議だ……。
始めはなにこの強引男!!みたいにおもったけど、今は優しくて初対面なのに心をさらけ出せた。
他の人と、なんか違うなって思う。
いろいろ考えを巡らせつつ話終えたら先輩は無理はしなくて良いぞって言ってくれた。
けど、私は………
変わりたい。
そう思っていたし、なにより話を聞いてくれ、私を知ってくれた先輩の前だから眼鏡は外すって決めた。
先輩に外すっていうとじって顔を見られるから眼鏡を外す行為に緊張する。
それでなくても躊躇いはあるしね。
私はすっと眼鏡を外す。
恐いけど、今回は手も震えなかった。
そして、外すときにぎゅっと瞑っていた目をゆっくり開ける。
しっかりと先輩の顔にむけて。