なんで私が芸能人ッ!?
そしてとてつもなく面倒な自己紹介は、藤堂先輩、相馬先輩、羅奈ちゃんの時はとてつもなく歓声があがったのだった。
あーあ、ほんとこんな大人数で爆弾ゲームやったって全員にまわるわけないじゃん。
クイズ大会とか一部の人間しか参加してませんよー。
……とか思ってたら、雑談タイムになったらしい。
私は宣言通り身を潜めるけどね。
んーと、あそこの角で良いかな。
適当な場所に寄りかかる。
もちろんこんな地味子に話しかけてくる人はいないわけで。
まるで…………私と周りの人との間に壁があって、そこに温度差が生まれたみたい。
その壁を作ったのは自分なんだけど、壁を壊してくる人だっていないんだ。
私にとってはあるべき壁。でももしかしたら、壁を壊してくれる人をどこかで待っているのかもしれない。
「あ、りまだ。」
私の思考を断ち切った声の主。
当たり前といえばそうだけど、すでに聞きなれた物になった藤堂先輩の声だった。
「せ、先輩………っ。」
って、私は今先輩に話しかけられたらいけないんだよ!!
相馬先輩は羅奈ちゃんと話してるから、女の人は皆藤堂先輩のこと探してるし。
………………つーことで、
「すいません先輩っ。失礼します!!」
私は一瞬でお辞儀をし、走って廊下に逃げた。
「なんなんだ、あいつ………。」
そう呟いた先輩は、たくさんの女の人に捕まって人だかりの中心となっていた。
「ふ~っ。」
私ってなんか、何やってるんだろ。
廊下で涼しい風に当たって考え込む。
先輩と話したときも思ったけど、私なんも変わろうとなんてしてないんだよね。
話しかけてくれた先輩のことを避けて、学校じゃ地味子のまま。
芸能人モードの矢城りま。そんなの私が変わったわけじゃないじゃん。
メガネがなきゃなんも出来ないし。
…………ほんと、バカみたい。
「皆さんっ、雑談タイムは終了です!
これから炊事のクジを引くので、一列に並んでください!!」
教室からさっきの美人な女の人の声がする。
そろそろ行かなきゃかな。
ノロノロ歩いて列の最後尾に。
わくわくしてる皆のおかげですぐに順番が来た。
「りまー、当番なにか当たった?」
もうクジを引いたらしい羅奈ちゃんに声をかけられる。
私のクジには…………
「えっ!……………………………調理係みたい。」
最悪な係が書かれていた。