なんで私が芸能人ッ!?
「あっ、羅奈ちゃんりまちゃんこっちー。」
家庭科室入るなり手を振ってきた相馬先輩。
隣にいる藤堂先輩は………ちょっと不機嫌?
うわぁ、これ一番嫌なパターンだよね。
「相馬先輩、なにかやることありますか?」
そう聞く羅奈ちゃん。真面目だねー。
「んー、ぶっちゃけ買い出し係来るまでやることないんだよねー。」
あ、やっぱり?
「じゃあ、一緒にお米だけでも用意しちゃいません?」
あら?真面目と見せかけて二人になるのが本命……かな?
お米は食堂の台所?からもらってくるんだよね。
「そーしよっか。
じゃ、荷台使うし俺ら二人で行ってくるわ。」
「行ってきまーす♪」
上機嫌にお米をとりに行く二人。
…………あれ?これって、かなりまずいヤツじゃない?
不機嫌な先輩と二人だよ?
「……………おい。」
えっ、まさかの予感的中?
先輩の低い声。
「ごごごごめんなさい!!」
「あっ、待てりま!」
とにかく謝ってまたまた廊下へダッシュ。
家庭科室とはいえ私と先輩以外にも人はいるし、さっきのこともあるしで話すのはちょっと……パス。
誓いどおりに危険は回避♪
廊下の壁によりかかり、目を瞑って静けさに浸る。
「おいっ。りま……、お前ふざけてんのか?」
………えーっと?私、静けさに浸ってたんだよなぁ。
なんで先輩の声が聞こえるんだろう?
とりあえず、後も怖いのでおそるおそる目を開ける。
と、待ってたのはもちろんお怒りな先輩の顔。
「なにが……ですか?」
わかりきってるけど聞いてみる。
「は?わかってんだろ?
なんで俺をさけまくってんだよ。」
あー、やっぱり言われちゃった……。
でもこれ、答えようなくない?
「え…と…、簡潔に言いますと女子が怖かったんですね。」
「………それで?」
「いやまあ、それだけなんですけど………。」
「へー、そんなんで俺のこと平気で無視しちゃうんだ。」
あ、ヤバい……。これ性格変わるパターンじゃない?
「だ、だから謝ったじゃないですかっ!!」
ドンッッ………。
壁と先輩に挟まれる。
………え、これっていわゆる壁ドン………ですか?
「それだけで許されるとでも思ってんの?お前。」
か………顔が、
「ちかっ………。」
「俺さぁ、職業柄上下関係には厳しくするんだよな。
………わかるか?お前は俺の後輩。
礼儀がないヤツには…………………お仕置きだな。」
「ふぇっ………!?」
そういう先輩の顔がどんどん近づいてくる。
必死に手で押してもびくともしてくれない先輩。
や、ヤバい………っ。
ギュッと目をきつく閉じて下を向いた。