なんで私が芸能人ッ!?





その後いつまでも座ってはいられないので教室に戻ると、相馬先輩とにやにや顔の羅奈ちゃんがとっくに戻っていた。
…………その顔に嫌な予感しか感じられないのはなんでだろう。




「りま、随分と遅かったな。」




そう言って少しにやっとする先輩。
って、先輩のせいでしょーがっ!!!!




「……遅れてすいませんでした。それより、買い出し係が戻ったなら早く作りません?」




「お前が遅いから作れないんだろ?」




「………………。」





こんなやりとりから始まった昼食作り。
とりあえず、藤堂先輩と相馬先輩で鍋&米炊き、私と羅奈ちゃんが材料を切ることになった。



私はチゲスープの具材をどんどん切っていく。
すると、様子を見ていた相馬先輩が




「あれ?りまちゃんすごい手際良いね。」




って褒めてくれた。




「ほんとですか?ありがとうございます。」




まあ、親が弁当を作ってくれなかったからできた技術なんだけどさ。




「お、羅奈ちゃんもなかなか?」




「ちょっとなかなか?って疑問系酷くないですかー?」




なんて楽しそうに話してる先輩と羅奈ちゃん。
藤堂先輩はなんか、もくもくとやってるなぁ。






とにかくそんなこんなで調理を進めて一時間半くらい。





このチームは結構料理が出来たらしくてなんと完成!!!!
他のところはまだ作ってるよ。





「やったー!!!あとは教室に運んで配膳するだけ♪」




嬉しそうに声をあげる羅奈ちゃん。




「ほんと、疲れたぁ……。」




私もそういうと、




「ふっ、りまって結構料理できるんだな。」




って先輩が。
褒めてるのか微妙なとこだよね。




「………どーも。」




さっきのこともあるし、ちゃんとしたお礼なんて言わない。




「お前まだ怒ってんの?そもそもお前が避けるから悪いんだろ。」




「~~~~~~っはいはい、すいませんでした。」




もう、このままあっかんべーってしてやりたい。




「じゃあ配膳用の容器にも移したし、さっさと教室持ってっちゃおーか。」




見た目通りの軽い声で相馬先輩が言ったので、私達もおとなしくついていく。





それから教室に到着して配膳して、いただきますってそこまでは何事も無くスムーズに進んだんだけど……。
(まあ、來様の手料理!?とか相馬くんの手料理!?とか間宮さんの………とかうるさかったけど。)




いきなり、




「せっかくテレビあるんだし、交流会なんだからつけちゃおーぜッ。」




とかなんとか、名前も知らないきっとお調子者野郎が言い出してテレビのスイッチがつけられる。




……………最悪。
丁度今日からCMが流れるっていうのに………。




つけたチャンネルは運悪くCMタイム。
今は私が出てる携帯のじゃないけど、そのCMが出る確率は極めてたかっ………




けけけ携帯のCM!!!???




「あ、相崎俊だっ。かっこいー。
ていうかこのCM新しくない?」




「ほんとだっ、てかあの女の子見たこと無いけど誰だろー?」




……………なにこの辱しめ。
一人恥ずかしさに悶えていると羅奈ちゃんが、




「ねえ、あれってりまだよね?」




って。さすが羅奈ちゃん




「……あー、わかっちゃった?」




「うん。しかもりまの苦悶の表情がわかりやすすぎるんだもん。」




「だって……いきなりこんな大勢に見られるなんて……。」




「えー、良い画撮れてるし可愛いし、自信持って良いと思うけどなぁ。」




「え………?」




「だってほら、皆可愛いっていってるしこれ誰だろうとか超話してんじゃん!」




うそ………。
そう思って周りを見る。



そしたら羅奈ちゃんの言う通り、可愛いとか、誰だろうとかの声が上がってるんだ。




…………ヤバい、これかなり嬉しいかも。
自然と頬が緩む。




塵のような自信がでてきた私はCMちょっと見てみようかなって思って顔をあげる。




…………………あっ。
顔をあげた瞬間、先輩と目があう。




先輩は優しい顔でにっと笑って小さく頷くんだ。




それが私には良かったぞって言ってくれるように聞こえて、怒ってたのについ嬉しくてもっと笑顔になっちゃう。





こんな大勢の前で見られて悶えるほど恥ずかしくはあるんだけど、同時に認めてもらえた。
笑みがついこぼれちゃうっていうこの状況だと、芸能界やって良かったかな?って思う。






ほんと、なんやかんやとあったけど晴れて芸能界デビュー?です。








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