なんで私が芸能人ッ!?






「ビッグニュースってなんですか?」




「聞いて驚け?
お前の、初ドラマ出演が決まったんだ!!」





………………え?





「………ドラマ?」





「ああ。お前のCMの演技を見て、監督に指名されたんだと。」





「うそ………。」





どうしよう、嬉しい。
CMを見てってことは、私自身を必要としてくれたんだよね?




「先輩……ありがとうございます。」





「お礼は俺に言うもんじゃないだろ。
採用したのは監督で、それはお前の力なんだから。」






「いえ、私をここへ連れてきてくれて。
私、今すっごく嬉しいんです。認めてもらえることが。
ここに来る勇気をくれたのは先輩なので………、ありがとうございます。」






どうしようもない喜びを噛み締めながら先輩にお辞儀する。






「…………ん。」





微妙そうにそれだけ言う先輩。





たぶん今嬉しくても、これから私に降りかかるのは幸せだけじゃない。
………お姉ちゃんだってそうだったから。






「りま、お前にはすげぇ才能がある。
だからこれから絶対に名前が売れることになる。」






何か考えてたっぽい先輩は、一つ一つ言い聞かせるように言葉を発する。





「………………。」






「でも、名前が売れればネットで叩かれたりとか同じ女優からの妬み僻みを受けたりする。
当然……姉についてもマスコミが嗅ぎ付ける。
お前はそれでも……絶対に負けたりしないよな?」





やっぱり、私の考えたことと同じことを聞く先輩。






「………ふふっ、当たり前じゃないですか。
私の芸能人モードのりまちゃんは絶対にそんなことで負ける人じゃないですもん。
むしろ、笑顔で立ち続ける人だから。」





そう、「私」ができなくても……。
私には「りま」がいるんだから。





「ふっ、そうだな。
けど、りま。お前が強くならないと意味ねぇぞ?」





「…………わかって、ます。」





私かぁ……。
私が強くなったら芸能人のりまになるのかな?
それって私なの?






「それと、りまはりまだ。
何があってもりまっていう一人の人間。
芸能人のりまも含めて、りまなんだ。」






……………そっか。
私なんだよね、全部。これから演じる人たちも。






「私は、演じることをずっと大好きでいれば良いんですよね。」





なんとなく先輩に確認をとる。
すると、先輩はかわらずいつものにって笑顔をみせるんだ。





「ああ。」





そして、優しい声でそう言った。









「先輩、私なにがあっても絶対に負けません。





だから、一緒に居てくれませんか?………マネージャーとして。」







そう言うと一瞬顔を歪めた先輩だったけど、すぐに笑顔で






「決まってんだろ。」






って言ってくれた。
私は頬をゆるめて、





「ありがとうございますっ。
そして、よろしくお願いします!!」





って言いつつ頭を下げた。








…………あれ、でもなんで先輩は一瞬……顔を歪めたのかなぁ?










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