なんで私が芸能人ッ!?





まずカースト学級で私が演じるのは一軍、二軍、三軍っていうのがある中で、一軍のグループにいる野村未夢。




なんか……六話くらいにトラブル起こすんだけど、見た目は意外とこのままで良いらしい。
あ、編み込みとかやったりはするけど (あと化粧だったりね!)





ちなみに、一軍がトップグループで、二軍が普通、三軍は論外になっちゃうんだよね。





それから宮崎さん演じる主役、道端恵梨香はもともと一軍のリーダー。
でもやることが横暴すぎて周りの一軍からも嫌われちゃって、三軍に降格しちゃう。
そんな中である三軍の子と親友になって、スクールカーストを無くすために頑張るの!




私たちは恵梨香をいじめもするんだけど、そのシーンはお前らで考えろ……って無理じゃない?





さ、そろそろ打ち合わせ終了だねっ。





「それじゃ、次の撮影よろしくなっ。」





監督さんがしめる。
撮影かぁ……楽しみだなぁ。




「あっ、矢城さーん!!」




そう声をかけてきたのは一軍グループの奈未役、香月稚菜さんだ。
稚菜さんはふわっとした茶髪を二つ結びにする。




「ねっ、矢城さんってあの矢城ひまの親戚だったりする?
名字が同じで一字違いって姉妹っぽいなぁって思って。」





あ………れ……?
なんだろう、またお姉ちゃんのお飾りとしてしか見られてないっていうより、私……
お姉ちゃんの存在忘れてた?たくさんの人に認めてもらえたからって。




どこまでいっても矢城ひまの妹なのに。
………でも。





「事務所は違いますが、姉ですよ。」





にーっこり答える。
だって、私は負けちゃいけないもん。芸能人モードのりまもいるんだから。
それに名前が売れてるお姉ちゃんと比べられることは前からわかってたんだから。





「うわーっ、やっぱり?
稚菜もモデルなんだけど、ひまさん超尊敬してるんだよね。
あ、りまってよんで良い?稚菜のことも稚菜で良いから。」





「うん、全然良いよ。」





稚菜さんの一言をとっても、お姉ちゃんがすごいことがわかる。
私はいつか追い越せるかな?





「じゃあ撮影頑張ろーね、りま!!」





そう言って手をふる稚菜さん。





「うん、また。」





私も微笑みながら手をふった。
すると、頭に大好きな感覚が訪れる。






「よく堪えたな、りま。」





そう、優しい先輩の手だ。





「私はお姉ちゃんの妹ですから。
この業界でお姉ちゃんと比べられて、当たり前ですよね?」





笑顔で言うと、





「ああ。」





先輩も、笑顔で返して乗せた手をぽんぽんってする。
それからぼそっと小さい声で、





「頑張ったな。」





って言ってくれたんだ。
私の頬が緩んだのも仕方がない……よね?






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