神楽先生には敵わない
図星の私の顔を覗き込んでくる先生に、思わず言葉が詰まる。
先生と出かけるのはスイーツを食べに行った時以来だ。
あの時はまだ先生の事を何も知らなかったし、何も思わなかった。
でも今となっては…。
「ホントすぐ顔に出る。可愛い」
「うっうるさいです!」
茶化すように言ってるんだってわかってるのに、
それを嬉しいと喜んでいる私がいる。
「じゃ、早速行こっか」
先生はそう言って突然私の手をぎゅと強く握ってきた。
「先生…!?」
「こんなに人がいたらはぐれちゃうでしょ。みちるちゃんが迷子にならないように。ね?」
驚きながらあたふたする私をよそに、先生はクスと笑いながら指を絡めるように恋人繋ぎをしてきた。
手から感じる先生の少し高い体温とゴツくて長い指の感触は、
どうしても異性として意識してしまう自分がいる。
「…」
ドキドキと心臓が大きく鼓動しながら、その横顔をチラリと見つめる。
いつも見慣れてるはずなのに浴衣姿という魔法がかかっているせいか、
普段以上に格好良く見えた。