神楽先生には敵わない
開始時刻が近づくと、アナウンスでカウントダウンの放送が流れてきた。
空もついさっきまでは茜色だったのに、
すっかり暗くなって星がちらほら見える。
まだ買い出しから帰ってこない先生を心配しつつ、私も一緒にカウントダウンを始めた。
「三、二、一…!」
その瞬間夜空が一気に明るくなったと思えば、
大きな花火が一斉に打ち上がり目の前で大輪の華を咲かせた。
「凄い…!」
体の芯にまで伝わる地響きのような大きな音と共に、
賜わず声を上げて感動してしまう私。
―――先生早く帰ってこないかな…。
何かトラブルでもあったのかな。
大丈夫…?
辺りにいる人間の殆どが花火を見上げていて、
歩く人間は誰もいない。
買い出しに行ってからだいぶ経っているような気がして、
心配であり、不安にもなってきた私は携帯を取り出し連絡する事に。
画面に番号を出したその時、
少し離れたところから知らない男性に声をかけられた。
「一人で見てるの~?」
そこには若い俗にいうチャラ男みたいな男性、二人が私の方へ近寄ってくる。
「え、あ、一人じゃないです」
「友達と一緒?女の子~?」
「それとも彼氏~?」