神楽先生には敵わない
「みちるちゃん、ここベタ塗ってくれ....」
その時先生が私に声をかけたと同時に私を見つめると、
その先にはソファーに寄りかかったままうたた寝する私の姿が。
先生はそんな私の姿に目を丸くしたが、
すぐに目を細め優しく笑うとおもむろに立ち上がる。
そして、ソファーにあったブランケットを私の身体にそっとかけてくれたのだ。
「黙ってると可愛いんだけどなぁ」
寝顔を見るなりクスクスと笑った先生は、
私の頭を優しくポンポンと撫でると再びスクに戻り原稿に向かい合ったのだった。
........。
バタバタと出版社を走る私。
身なりも整えず服も昨日のまま。
まさか先生の部屋で寝たまま起きるまで気付かず、しかも入稿時間とっくに過ぎていた挙句、
まさかの先生が部屋にいないという、
最悪な朝を迎えてしまったのだ。