神楽先生には敵わない
Act.11 読めない先生
‘神楽君って何考えてるか、わからないよね‘
そうだね~。
‘私の事、本気愛してるの?‘
たぶん。
‘冗談ばかり言って、話を逸らさないで‘
だって本気の僕なんて見たくないでしょ。
それにラクなんだよ、ふざけてると。
傷つく事もないし。傷つける事もない。
端からこういう人間なんだって思わせれば、
みんな深入りしない。
面倒事もなく浅く広くでうまくいけば一番簡単じゃない。
本気で悩む事もなんかしなくてもいいんだから。
それに悩んでまで欲しいものなんて無い。
そうやって生きてきたのに…――――。
「…」
先生の言葉でお互いの時間がピタリと止まったような気がした。
「先生…?」
ジッと見つめてくるその真剣な眼差しに、
私は少し動揺してしまった。
ダメって何?
どういう意味?
頭の中でグルグル回る先生の言葉と口づけの意味。
「ぷっ!」
「!?」
さっきまでの真剣な表情が一変、いきなり吹き出した先生。
「みちるちゃん、目が泳いでるよ」
クククと肩を揺らしながら笑う姿に思わず目が点になる私。