神楽先生には敵わない


「櫻井!櫻井!!」 


何だかあの日を境に、

先生との仲がギクシャクしているような気がする。



「櫻井〜」



仕事の事で話をしていても、何処か上の空のような感じがして。



「櫻井さん?」



寧ろ私を避けているような雰囲気さえ醸し出しているような。



「あの…、すみません、櫻井様」



何が先生をそうさせてるのかなと思うと、
やっぱりあの発言がキッカケなんじゃないかと勘ぐってしまう。




「さ、く、ら、い…」

「なっ!編集長!?」



デスクの椅子に座る私の背後に編集長がいることなど全く気付かなかった私。


泣きそうな震える声で名前を呼ばれた時要約気づいて、私は慌てで振り返った。



「これ単行本の校正チェック…、って俺存在感ないかなぁ…」




校正チェックとは、原稿の通りになっているかどうかをチェックし、文字の大きさや書体などが編集者が指定した通りになっているか、細部まで確認する事だ。




「す、すみません!」


原稿を受け取って謝ると、肩を落としながら自分の席へと戻っていった。

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