神楽先生には敵わない
あくまでも私は先生の担当者でサポートをするのが仕事だから、
そこに私情を持ち込んで仕事に支障をきたすようではいけない。
先生が読者に愛される作品をこれからも描けるよう、
影の立役者として支えられれば…。
「とか言いながら頭ん中じゃど変態なことばっかり考えてるんだろ」
「!!!!」
ジト目で見透かすように見られ堪らず赤面してしまう私。
「どっ、ド変態って、なっ、何、何を…!!!」
大きく動揺していた時、お待ち~とレモンハイが入ったグラスが運び込まれ、
その拍子でグラスを掴むと一気飲みしてあっという間に空にした。
「冗談で言ったつもりなんだが、まさかの図星とは」
はぁ~と大きく息を吐いて髪を掻き上げる椎名。
そのままテーブルに頭を置いたまま力尽きてしまうと、
死んだように眠り込んでしまった。
時は夜十一時。
軒先にある赤提灯の前にも簡易テーブル席があり、そこにも客が飲み騒いでいる。
ガラガラと店の扉を開けて椎名に体を支えられながら外に出た私。
「すみません…、少し飲み過ぎました」
「少しどころじゃないだろ。まともに歩けない癖に」