神楽先生には敵わない
そして部署につくなり慌てて編集長の元へ行くがデスクにおらず、
辺りを見渡していると櫻井!と怒鳴る声がした。
その矛先に目をやると、
バリケードが立った部署の一角にちょっとした談話する場所があり、そこに何故か編集長と先生がいたのだ。
「先生....!」
「みちるちゃんおはよ〜」
先生は私を見るなりニッコリ笑って、手をヒラヒラと振っている。
ーー先生がいた....!
もしかして....と頭の中で期待しながらその場に行くなり編集長から、何してるんだ!と一喝。
「先生に原稿持って来させる担当者なんて聞いたことないぞ!」
「いいんですよ、編集長」
眉毛を釣り上げながら怒る編集長に、
先生はまぁまぁと笑って宥めてくれる。
ーーよかった....。
先生が持ってきてくれたんだ。
一気に肩の力が抜ける。
先生の話に穴を開けることなんて、
担当者として絶対やってはいけないことだからだ。
「みちるちゃんの寝顔が可愛くて起こさなかった僕が悪いんですから」
「は?」
「なっ....!」
さらっと言った先生の発言は、
私の全ての失態を丸裸にした瞬間だった。