神楽先生には敵わない
「やぁ、奇遇だねぇ」
ふふふと笑いながら煙草を挟んだ指を口元にあてる。
その言葉に椎名もどうも。と軽く頭を下げた。
「こんな場所で会うなんて。それとも必然でしょうか」
ニィと不敵な笑みを浮かべながら相手を見つめる。
二人の間にある少し離れた距離感と不穏な空気。
互いにどっしりと構えた引けを取らないような態度に、
一気に緊張感がピリつき始めた。
「どう?これから」
「勿論お付き合いしますよ。時間たっぷりありますし話したい事もありますから」
笑みを浮かべた椎名の視線が捉えた先にいたのは、
今一番憎悪の念を抱く相手だ。
「神楽先生」