神楽先生には敵わない
Act.2 ずるい先生
世間は新緑の季節から梅雨の時期へ。
湿気と毎日雨降りに何だか気分まで滅入ってしまいそうだ。
基本先生と会わない日は会社でデスクワーク仕事。
雑用やら先生の入稿スケジュールやらと何だかんだで忙しかったりしていた。
そんな時、携帯に一本の電話が入った。
私は仕事をする手をペンから携帯に変える。
相手は先生の仕事場からだった。
「はい、櫻井です」
ーー珍しいな、仕事場から電話なんて。
普段はあまり先生から電話などこないだけに、
私は不思議な気持ちで着信を出る。
『あ、みちるちゃん?』
意外にも電話の主はアシさんからだった。
「お疲れ様です。どうかされました?」
先生からではなくアシスタントからなんて、更に謎が深まる。
『いや、実はね....』