神楽先生には敵わない

「とか言って天国で、余計なことしないで!って怒ってそう…」


苦笑いをして眼鏡を直す先生に、私は居ても立っても居られず先生に腕に抱き着いていた。



「みちるちゃん…!?」



突然の事に驚きながらも少し照れたような表情で私を見下ろす先生。

しかし私はそんな事お構いなしに強く先生の腕に抱きついた。



「これからも先生の側で沢山の作品を見させてください…!」




担当者として、

いち読者として、



一人の女性として先生の側に居たい。




側にいて作品達の行く末を最後まで見届けたい。




「…」


先生の表情は何故か暗くて、
若干複雑な心境のようだった。


しかしそんな事つゆ知らず私は涙声で思いの丈を先生に伝える。


「これからも先生がいい作品を描けるよう頑張りますから」




今の作品を見返した時、不思議と気づいたのは主人公がどんなときも笑顔でいることだ。


それはきっと先生自身が妹さんの笑顔に救われていたからかもしれない。

そして誰よりも笑顔を見たかったから、
漫画の中で照らし合わしてるんだ。




妹さんは死んではいない。



今でも先生の心の中で、漫画の中で生き続けてるんだね。


< 130 / 159 >

この作品をシェア

pagetop