神楽先生には敵わない
ACT13 それは突然に
「お兄ちゃんってさ、好きな人いないの?」
「好きな人?ん~、特に」
「私はいるんだ。好きな人」
「同じクラスの子か?」
「そんな訳ないじゃん。みんな子供っぽくて嫌。やっぱり大人の人がいいな」
「じゃ告白してみればいいだろ」
「そんなの無理に決まってるじゃん。やだぁ」
「ワンチャンあるかもしれない」
「ワンチャンって。いいの、私さ…恋人とかそういうのじゃなくても」
そう話すお前の横顔は何処か寂しそうだった。
‘遠くで見守ってるだけでいいんだ。遠くからで‘
夜、温泉に入りみんなで美味しい食事を堪能した後、そのまま流れるようにカラオケをした。
その後も別の場所で散々盛り上がって宴会はお開きとなった。
先生と別れアシさん達と部屋に戻る途中、ふと携帯を忘れた事に気付いた私。
みんなには先に部屋に行ってもらうように伝え、
とりあえずロビーに向かった。
「此方で間違えないでしょうか」
自分の携帯が届けられていた事に少し安心をしながら受け取ると、
私は再び部屋に戻るため、来た道を戻る事にした。
その帰り道だった。
「先生?」
「!」