神楽先生には敵わない


なんでもアシさん達曰く、

数日前から体調を壊していたらしく今日になって更に悪化し、ペンすら持てない状況にまでなっていたらしいのだ。


熱や咳、怠さ加減を見る限り風邪じゃないかと主婦の見解。



しかし先生は病院嫌いで

アシさん達の助言も聞かず仕事をしていた。




その結果、寝込むまで状態を悪くしてしまったというのだ。




幸い先生の仕事分は終わっていて原稿自体は何の問題もなく、〆切までには終わる予定。



担当者としては原稿ももちろを心配だったが、

先生の状態が何より心配で仕方ない。



このまま長引く事があったら連載自体にも何らかの支障が出るかもしれないからだ。




「....先生?」





私は薄暗い寝室にひょっこり顔だけを出す。



先生の仕事場兼自宅なので、作業場しか出入りしない私にとって、

先生のプライベートに足を踏み込んでしまうような緊張感が身体を支配していたのだ。




私の問い掛けに何も応えない先生。


ぐっすり眠っているのだろうか、ベッドに横たわる大きな身体はぴくりとも動かない。


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