神楽先生には敵わない
眼鏡を外しているせいか、
私の姿は見えず声だけで選別したらしい。
「大丈夫ですか?身体。アシさん達から連絡貰って心配になって来ました」
「あぁ....そう....」
前かがみになって先生を見下ろす私に、
先生はベッド脇にある小さなテーブルに置いてあるライトを付け、そのまま眼鏡に手を伸ばした。
「心配かけちゃって、悪いねぇ....」
眼鏡をかけ深いため息の後ベッドが軋む音と共に身体を起こそうとするが、
やはり体力が落ちているせいかどこと無く動きが鈍く辛そうだ。
「あ、先生は寝ていて下さい!何か欲しい物ありますか?ポカリとか、お粥とか....」
「大丈夫だって....」
「ダメです!先生辛そうですもん、私が用意しますから....!」
これ以上の負荷を先生の身体にかけてはいけないと感じた私は、
起き上がる先生の身体を半ば強引に止め再び寝かせた。
「あ、じゃ....」
私の言葉に観念した先生は、
ふぅと深呼吸をし重いまぶたで一度瞬きしながら私を見上げた。