神楽先生には敵わない
先生の手の平の上で明らかに遊ばれてるとしみじみ感じたが、
先生あっての私がいるわけで。
先生がいなければ私は無用なわけで。
出版社から見たら、先生様様なわけで。
ーーこれは紛れもない上下関係なんだよね....。
「もう....」
はぁ〜とため息一つつくと、
私は先生の元へ近寄り床の絨毯に膝をついた。
そして温かいうどんを小皿に取り、 箸でうどんを掴むとふぅふぅ息を吹きかけてそのまま先生の口元へ運んだ。
「はい、先生」
あーんと口を開けてうどんをもぐもぐと頬張る先生。
「うん。美味しいじゃない、みちるちゃんいいお嫁さんになるね」
眼鏡の奥で目を細めて笑う表情が何だか気恥ずかしくて、
ありがとうございますとつい照れながら呟いた。
「じゃ、しっかりと食べて早く元気になってくださいよ?」
「はいはい、わかりましたよ」
先生はその後うどんを全て平らげ、
満足した表情で再び眠りについた。
その様子を見届けると、私は朝食べる食事の分を用意しそのまま仕事場を後にしたのだった。