神楽先生には敵わない
「あら先生!」
仕事場に出勤したアシさん達の目の前にいたのは、
元気な姿で編集部から送られたFAXに目を通す先生の姿。
「随分元気になったんじゃない?」
「顔色も良くなって〜」
「心配したんだからねぇ!」
「スッキリした表情だわ!」
近所のおばちゃん達が一斉に知り合いの子供に絡み出すように、先生の机を囲みだしたアシさん達。
「いやぁ、お陰様で元気になりましたよ。ご心配おかけしました」
あははと笑いながら軽く頭を下げる先生。
昨日と打って変わって今朝は梅雨空には珍しい快晴日和。
カーテンから指し込む太陽の光が、仕事場を明るく照らしていた。
「やっぱりオバちゃん達じゃだめね〜!若い子に看病してもらった方が効き目あるわ~」
アハハハとアシさん達が談笑しながら、個々の机に座り始める。
「じゃ、今日も一日宜しくお願いしましす」
毎朝必ず行う先生の挨拶を皮切りに、
アシさん達が原稿と向き合い始めた。
先生は空いたコーヒーコップを台所へ戻しに行く。
そこには昨日私が作った食事の器が綺麗に完食された状態で置かれていた。