神楽先生には敵わない
日曜日の都心は天候変わらず混んでいた。
路面に濡れた道はキラキラ光っていて、
赤いブレーキランプが更に鮮やかに反射して眩しい。
「普段はどんなところに行くの?」
「んー....、原宿とかですかね?いろんなお店あるし」
「みちるちゃん友達とかは?」
「逢ったりしますよ?ご飯食べに行ったりとか、人気のお店行ったりとか」
先生の軽やかな運転で国道を走る車。
色んな話をしながら会話を楽しむ私と先生。
デートと言われて少しドキッと驚いたが、
要は適当にぶらついてご飯でも食べない?みたいな、そんな軽いノリだった。
「先生は普段休みの日って何してるんです?」
私が聞き返すと、まぁいろいろ?と笑って濁す。
「いろいろ、って?」
「色々だよ。一人もんだし好き勝手に過ごしてる」
ーー先生って変なとこ謎なんだよね。
私生活とか一切表に出さないし、
自分からも話したりしない。
いつも私が聞いてもうまくはぐらかしてしまうし。
“中年のオジサンの身の上話聞いても楽しくないでしょ~”
と笑って誤魔化されてしまうのだ。