神楽先生には敵わない
少し他人行儀だなって思う反面、
あまり先生のプライベートに踏み込んだらいけないのかな。なんて思ったりもする。
そもそも漫画家と担当者なんて、単なるビジネスパートナーだけの関係であって、
それ以上の繋がりなんて必要ないんだよね、たぶん....。
「....ちゃん?みちるちゃん?」
「ーーあっ、はい!」
先生に呼び掛けられてハッと我に返る私。
「どうした?」
「別に何でもないです」
車は赤信号で停車待ち。
私の横顔を見つめる先生の視線を感じながらえへへと笑う。
「ちょっと行きたい所あるんだけど、いい?」
パッと赤から青に変わった信号に、先生は前を見つめ車をゆっくりと前進させる。
「行きたい所、ですか?画材とかなら私買いに行きますよ?編集長から、お前は常に先生の足になれー!っていつも言われてますから」
「あははは!編集長らしいな」
苦笑いしながら言うと、声を出して笑って返す先生。
しかし行き先は全く違うらしく....。