神楽先生には敵わない
でも誰かに聞くのも何か気が引けるしな....。
そう思いながらフラフラしていると、
突然腕を掴まれグイッ!と背後から引かれた。
私は驚きながら振り返ると、そこには先生が目を丸くしながら見下ろしていた。
「みちるちゃん、なんでここに?」
いつもの容姿ではなく、
整髪料で整えられた髪はくっきりなウェーブヘアー。
無精髭も綺麗に整えられていて、見るからに高そうな黒いスーツに身を包んだ姿だ。
「....」
私はそんな先生の姿についつい見入ってしまう。
それと同時に胸の奥がカッと熱くなった。
「みちるちゃん?」
「あ、はい!」
苦笑いしながら眺める先生に何故か緊張してしまう私。
初めて見る正装の先生は、
明らかに普段と違った雰囲気でかっこよかったのだ。
「神楽君」
そんな時、横から一人の初老の男性が先生へ近寄ってきた。