神楽先生には敵わない


それにまさかこんな場所で会うなんで思いもしなかったからだ。




「それじゃ、俺はここで失礼するよ」

「はい。わざわざお声掛けして頂いてありがとうございました」



北村先生は君も仕事頑張ってと言葉をかけてくれて、私は有り難うございます!と深々と頭を下げた。



そして賑わう人混みの中へ消えていく背中を先生と一緒に見送った。





「それじゃー、帰ろっかな」


先生はんーっ!と両手を上に伸ばして軽く背伸びをしながら言った。



「え?だって始まったばっかりですよ?」

「北村先生に挨拶したらもう用無いもん」



先生の発言に驚く私を見ながらあっけらかんと話す。



「正直、こういう人混みっちゅーか、一つの部屋にたくさん人がいるの息苦しくて好きじゃないんだよね」




頭をポリポリとかきながら小さくため息をつくと、
ズボンの両ポケットに手をいれて、一服もしたいしなぁと呟いた。






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