神楽先生には敵わない
先生って、何で少年漫画じゃなくて少女漫画なんだろう。
確かに今の業界では、女性漫画家が少年誌で連載していることは決して珍しいことじゃない。
しかし、中年男性が少女の目線で、
しかも今時の高校生の気持ちになって作品を作り上げていく人なんているのだろうか。
ーーそもそも何で恋愛漫画?
それにどうして“アヤカ”という、可愛らしいペンネームを使ってるの?
一番近い場所で先生を見てるのに、
肝心な事、何も知らないんだ....。
私。
「ん?どした?」
ついつい先生の横顔を見つめながら考えに更けてしまった私。
その視線に気づいたのか、
先生はきょとん顔で私を見下ろしてきた。
「あ、まさか今日も先生カッコイイなぁ〜って見とれちゃった??」
「なっ!何言ってるんですか!変態っ」
イヒヒとにやけながら笑う先生に、
カッと顔を赤らめた動揺した私は、グラスの飲み物を一気に飲み干した。