神楽先生には敵わない
Act.5 優しい先生
会場のある場所から少し離れた一角にソファーが並んだ休憩出来る場所があり、
私は先生に連れられながら移動した。
ソファーに座ると、飲み物買ってくるから横になって待っていなさいと先生は言い残し、私を置いたまま何処かへ。
「....」
若干頭が朦朧とする中、
まだアルコールが体から抜けない私は、深呼吸一つしてそのままソファーに横たわった。
ーー先生にへんな所見せちゃったなぁ....。
何だか重たい目を閉じながら自分の失態を悔やむ。
二十歳に一度だけ酒を飲んで酔っぱらった日以来、
私はアルコールをやめていた。
アルコールに対して嫌な記憶しかない。
それが自然と身体が拒否するようになっていたのだ。
それがまさかこんな場所で、
しかも先生の前で晒してしまうなんて....。
「....っ、気持ち悪くなってきた」
過去の記憶が脳裏を霞んだだけで、
胃がムカムカしてきた。