神楽先生には敵わない
ーーえ?
私が目線を上にあげた時には、
すでに先生の顔が目の前に....。
休憩室の前を歩く人は多い。
近くにエレベーターがあるせいか、
ひっきりなしに通っていく。
その都度いい歳した大人二人が膝枕して、されてる光景を物珍しそうに眺めていくのに、
先生はーー!!!
「....」
目の前に見える先生の眼鏡のレンズに目を見開いて驚く私の顔が映ってる。
その奥で真っ直ぐ見つめる視線は、
いつも原稿と向き合う時と同じ真剣な眼差しだ。
「せん、せ」
「ーーごめんね、みちるちゃん」
私の言葉を遮るように先生はそっと囁くと、
再び行為に及んだ。
久しぶりに感じる生暖かい感触に、私は抵抗すらせずにただ唖然とするだけ。
思考回路が正常なら平手ビンタでも食らわせてたかもしれないのに。
先生は私にキスをした。