神楽先生には敵わない


都内でも有数の広さを持つ公園にはいろんな人間がいる。



十人十色の人間を眺めながらぼんやり過ごすには恰好の場所だ。




少し歩くと噴水が見えてきて、
溢れる水で夏空の中、遊ぶ幼い子供達。

その様子を見守る母親の姿が目に入ってきた。



「最近の母親は若い子が多いんだねぇ」



肌を激しく露出したり髪をまっきんきんに染めたり。


四十超えたオジサンから見ると、母親のイメージとは似ても似つかない感じがするが、

これも“時代”という時の流れなのかしれない。




そんな光景に背を向けて、少し歩いた先にある木々が立ち並ぶ歩道の前のベンチに腰を下ろす僕。



来る途中自販機で買った缶コーヒーをジーパンの後ろポケットから出してタブを開ける。



ちょうど木陰で過ごしやすいので、

帽子を脱いだ後一口飲んだ。




「せんせーっ!」




その時、誰かが遠くから叫ぶ声が聞こえてきた。



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