神楽先生には敵わない
小走りで僕に近づいてきたのは、
みちるちゃんだ。
「また仕事アシさんに任せてサボってますね!?」
「もう見つかっちゃったのか〜!早いなぁ」
はぁはぁと息を切らしながらベンチに座る僕を見下ろしている。
ーーこんな暑い中、わざわざ追いかけてくれるなんて嬉しいねぇ。
煙草を吸いながらみちるちゃんを見上げ、ついついにやけてしまう僕。
締め日だって明日だし、
細かい仕事はちゃんと頼んできてる。
僕の仕事のペースを常に近くで眺めてるのに、
わざわざ呼び出しに来てくれるんだから何だか愛らしく思えてくるのは、歳のせいなのかそれとも....。
「まぁまぁみちるちゃんも座りなさいよ。暑かったでしょ?コーヒー飲む?」
みちるちゃんを僕の隣に座らせて飲みかけの缶コーヒーを差し出す。
少し考えた後、頂きます....と両手でコーヒーを受け取りそのまま飲んだ。