神楽先生には敵わない
何だかんだ、そう。と素っ気ない素振りをしたくせに、
内心は気になって仕方ない僕。
それこそ彼氏からとかだったら...。
「あ、あの実は」
「ーーへ!?」
突然みちるちゃんがボソッと言いかけた瞬間、
驚いた僕はついつい身体がビクッ!と反応してしまった。
俯いたまま顔を上げないで地面を見つめる横顔を見ていると、
さっき編集長から電話きまして...と何故か言いにくそうに話し出す。
「あ、はいはい。で、何言われたの?」
会社からだったのか...。
会話の相手を聞いた途端、無意識にホッとしてしまう僕。
「先生は知ってると思うんですけど、私元々ファッション雑誌に携わりたいって言ってたじゃないですか」
「編集長になりたくてこの業界入ったって言ってたもんね」
それは過去にみちるちゃんからの口から聞いた真実だ。
でも急にそんな事言い出すなんて、
何言われたんだろう。