神楽先生には敵わない
でも私自身はその話を聞いたときすぐには喜べなかった。
部署が変わるということは…。
ーーーー先生とはもう会えなくなる、のかな?
そう考えたら、
胸の奥がズキンと大きく傷が付いたような気がした。
なんでこんな気持ちになるんだろう。
先生とはただのビジネスパートナーなのに。
「とりあえずさ、前向きに考えてみなよ。こんなチャンスないかもしれないんだから」
「うん…」
友人の言葉に小さく頷いた後、店で一番人気のパスタにフォークを刺しくるくると巻いた。
この機会を逃したらもう夢には手が届かないかもしれない。
それは重々わかっているつもりなんだけど、
胸の奥に引っかかる気持ちと心の整理がうまく出来ていないのだ。
「ね、このパスタ超美味しくない??」
私の気持ちも露知らず、友人は満面の笑みでパスタ舌鼓を打つ。
そうだね、と愛想笑いで返すことしか今の私には出来なかった。