神楽先生には敵わない



「あ」



ほぼ完成原稿に落ちた数滴のインク。


しかもその場所はアシさんが書いた厄介な背景。




「あ〜、やっちゃったなぁ」




時は既に夜中三時で朝には彼女が原稿を取りにやって来る。



「これホワイトじゃ厳しいなぁ。描き直すしかないかぁ…」



細かい箇所上に修正が聞かないので、
渋々ながらも新しく原稿に描き直す事に決めた。




原稿に向き合って早十数時間。

疲れも出てきたところだし、僕は一度休憩を挟む事にした。



古い原稿をトレス台に乗せ下からライトを当て、

それを写すように新しい原稿を上に重ねてなぞり始める。


それからトーンを貼って細かい修正をするだけで簡単に数時間は過ぎてしまうからだ。



少し気分転換も必要かも知れない。






僕は一度仕事部屋から出て、キッチンへと向かう。



「たしか…。あった」


冷蔵庫を開けるなりお目当ての物が見つかれば、

堪らず笑みを零してしまった。



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