神楽先生には敵わない
その後、みちるちゃんと会うこともなく数日が経った。
「先生お疲れ様です~」
出版社に用事があって来た僕に声をかけてきたのは、編集長だ。
「この前の巻頭カラー評判バッチリでしたよ~。読者アンケートもぶっちぎりの一位!」
「ありがたいねぇ。それは」
たわいもない会話をしながら、
建物内にある喫煙ブースに向かう僕と同じ方向を歩いていたとき、
目の前から聞き覚えのある声がしてきた。
「違いますって。からかわないで下さいっ!」
「またー。いい加減認めろよな~」
そう言いながら曲がり角から現れたのは、みちるちゃんと男性社員だ。
「…」
久々に会ったみちるちゃんの姿に思わず目を奪われる僕。
だが、当の本人は僕のことなど気づいていない様子。
その上…。
ーー随分と仲…良さげじゃないの?二人。
相手の男性はスーツ姿が似合う好青年って感じの高身長イケメン。
きっとみちるちゃんと歳も近いのかもしれない。
男性がみちるちゃんにじゃれるように頭を撫でれば、
相変わらず顔を真っ赤にさせてその手を振り払っている。