神楽先生には敵わない
「!!」
何気なく呟いた言葉に堪らず心臓が大きく飛び跳ねて揺らぐ。
その横顔を見ると彼女も我に返ったのか耳まで真っ赤にして俯いている。
ーーーまさかドストレートで言ってくれるとは。
嬉しいような照れるような。
可愛いなぁ、みちるちゃん。
ついついにやけてしまう口元を自分の掌で隠して、
数秒黙っていると相手が痺れを切らして、あのっ!と言葉を発した。
「ネームかっ確認してもいいですか!?」
「へ?ネーム?あ、あぁ‥!ネームね!ちょっと待ってて…!」
さっきまでの甘い空気感から一変、現実的に戻った瞬間。
自分でネームの事を伝えていた事などすっかり忘れていた僕は、
コップをテーブルに置いて、部屋まで取りにソファーから立ち上がった。