神楽先生には敵わない


ダイニングテーブルを先生とアシスタントさん、
そして私が囲むように座って談笑する光景。


それはどう見ても井戸端会議にしか見えない。



「ーーって先生!いつ原稿やるんですかっ!」



このまったりとした空気にやきもきした私は、バンッ!とテーブルを叩いて勢いよく立ち上がった。



「…」


私の隣で目を丸くしフォークに刺したケーキをパクリと一口食べる先生。


そして向かい側に座るアシスタントさん達も、きょとん顔で私を見つめている。




「原稿間に合うんですかっ!?まだペン入れすらしてないのに!」





大量の資料や編集部とのやりとりが書かれたFAX紙などが山済みのデスクの上には下書きされた原稿がそのままで、


背景やトーン貼りなどのアシスタントさんの仕事は全て完了済み。



あとは先生がペン入れだけしてくれれば全てが終わるのに!





「まぁまぁ、みちるちゃん。そんな焦らない焦らない」



はははと私を宥めるアシスタントさん、四人はみな四十代過ぎの既婚女性達だ。


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