神楽先生には敵わない
先生がネームを部屋に取りに行く背中を確認すれば、
私はコップの中身をグイッと一気飲みして火照る顔を急いで冷やした。
ーー私とんでもないこと言ったよね?
さらりと口走っちゃったよね!?
改めて自分が言った言葉だと思えないような、
素の気持ちに堪らず焦る私。
先生が黙っちゃってからの数秒がとてつもない空気で、
それに耐えられなくなって咄嗟ネームの話を持ち出した。
仕事の事も勿論大切だけど、
ここに来たのはそれだけが原因じゃないような気がして。
もっともっと深くて強い気持ちが私を動かしたんだ。
じゃなかったら、
こんなに心臓がドキドキしないもの。
「はい、これなんだけど」