神楽先生には敵わない
 
「もぅ!すぐ子供扱いしないでくださいっ!これでも担当者なんですから!」



頬を膨らませて拗ねる私を先生は笑みを浮かべたままで見下ろす。



子供扱いされるのは嫌だけど、

こうやって先生に撫でてもらうのは昔から好きだ。



気持ち良くて心地がいいからつい身を委ねてしまうのだ。




――♪♪♪



その時私の携帯が鳴って、すみませんと戦線から離れるとテーブルの上に置いてある鞄へと近づく私。


おもむろに携帯を取り出すと、着信は椎名だった。



「誰?」

「えっと…、椎名さんです。私の大学の先輩でクラージュの編集長をしてる」



先生の言葉に一瞬迷ったが椎名の事を伝えた。


ついさっきの事もあるし、先生にもあまりいい印象がないだろうなと思ったけど、

隠すことでもないし嘘をつくような事でもない。




< 82 / 159 >

この作品をシェア

pagetop