神楽先生には敵わない
苛々が収まらないのは事実で、
その鬱憤を晴らす為に手短な女をホテルに呼び出した。
しかし行為中も頭の中はつい数時間前に起こった事ばかり浮かぶだけ。
何度突いても吐き出しても満たされない。
考えれば考えるほど、
まるで相手のドツボにはまっていくような感覚にさえ思えてしまう。
「でもすっごい気持ち良かった。…好きよ和義」
何も知らない女は照れながら呟き、ぎゅと椎名に抱き着く。
――好き、だなんて軽々しく吐くな。
全くの無感情の相手を横目で冷たく見下ろしつつ、白煙を口から出した。
その時女が上目遣いで椎名を見れば、
途端にニコリと笑って笑顔を振り撒く。
「さ、もう一発抜くか」
女が誰であっても男の本能がいつでも剥き出しになれる。
その原因はアイツのおかげだ。