ポーカーフェイス
「ねぇ」
「…ぁ…?」
闇が囁きかける。
寝ぼけ眼の悠翔は、その瞳に闇を映した。
「もうそろそろ、自覚してよ」
「は…?」
脈絡がないそのセリフに、悠翔は目を丸くした。
「気付かないフリ…なんて……ねぇ?」
「何が…言いてぇ…?」
未だに状況が掴めずにいる悠翔をよそに、闇は1人で話を続ける。
「もうそろそろ我慢の限界ってやつが来るんだけどさあ」
「…」
もう何か言う事すらも面倒で、悠翔は口を閉ざし続ける事にした。
「ほら」
「目を覚ましなよ」
「本当の」
「自分にさ」
「気付きなよ」
「早く」
「だから」
「我慢の」
「限界」
「なんだってば」
「ねぇ」
「聞いてる?」
「返事ぐらい」
「しなよ」
悠翔の周りは、いつの間にか沢山の闇が囲んでいた。