ポーカーフェイス

「やめろっ!!」

「どうして…?」


 尋翔は身を捩った。


「お前………」

「何も言わなくてもいいさ。………ほら、今度はどうされたい?」

「いぁっ!!…くぅぁっ、つ…!!」


 顔を顰める尋翔を愉快そうに見つめるのは。


「な…ん、で…!!ぐっ、あぁっ!!」

「なんで?……そんな事今更聞くの?……野暮だね。ククッ」


 影は喉を鳴らした。


「ねぇ…痛い?」

「ったり……まえ…ぐぅぅああああっ!!」


 顔をひどく歪ませたのは尋翔だけではなかった。


「もっと…そんなんじゃないでしょう?」

「だっ…ま、れ………!!」

「そう……そんな顔…僕をもっと楽しませてよ?」


 劈く尋翔の悲鳴と、喉を鳴らして嗤う影の協奏曲(コンチェルト)。


「ほら。…ここがいい?……この傷、もっと深く痛めつけてもいい?」

「やっ……ぁっ!!め、ろ…!!」


 きらりと鋭く光るナイフ。

 それと同様に、影の瞳も光った気がした。



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