ポーカーフェイス

「それで?オレはなんで呼び出されたのかな?」

 
 廉の、肩より少し長めな髪が、風によってなびく。


「あ?尋翔、こいつになんも言ってねぇの?」

「あー、うん」

「って俺も、なんでこいつとここで待ち合わせしてんのか、よく知らねぇけど」

「え?È anche Lei?」


 尋翔の方を2人が見る。


「そんな詰め寄るなよ…」

「説明ぐれぇしろや」

「È vero.その通りさ。説明ぐらいしてほしいもんだね」

「…」


 めんどくさかった…なんて……言えねぇよ、なぁ…。


 冷や汗をかいた尋翔は、2人を執成すように両手を上げ、前後に振った。


「ま、まぁまぁ。詳しい事は、別の場所で話そうぜ?寒ぃだろ、ここ」

「……おい」

「まさか、逃げるつもりじゃないだろうね…?」

「逃げるかよ!とにかく、近くの居酒屋に予約取ったから、行こうぜ?な?」


 2人は顔を見合わせると、ジィ…と尋翔をもう1度見つめ、肩の力を抜いた。


「D'accordo.行こう」

「だな」


 尋翔は2人に見えないようにホッと胸をなでおろしたのだった。

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