ポーカーフェイス

「にしても、ホント変わんないね。2人は」

「お前もな」


 悠翔と、尋翔の声がダブる。


「ヒュ~」


 廉がニヤニヤしながら口笛を吹き、言葉を続ける。


「さっすがFratello.息ピッタリなところも相変わらずだ」


 歩きながら、3人は言葉を交わす。

 北風が3人の耳元を掠めた。

 マフラーに鼻まで顔を埋めるのは、前回の如く尋翔で。

 コートのフードを被るのは、こちらもまた、前回の如く悠翔で。


「……」


 廉はそれをジッと見つめた。


「ん?んだよ、廉」

「あ?あぁ、いや。顔を埋めるタイミングとフードを被るタイミングがピッタリだったからさ。…本当にBuon amicoなんだなって思ってさ」

「今更」

「ほらまた声ダブった」


 クツクツと廉は笑う。
 
 悠翔と尋翔は顔を見合わせる。

 しばらくして悠翔が口を開いた。


「…お前がそうやって笑うなんてな」

「え?」

「いや」

「……呑み屋ついたら積もる話でもすっか」

「…。ふふっ。Quello è corretto.」


 3人は足を速めた。






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