ポーカーフェイス
「つか、長かったな。お前」
「Maleducatoだよ、それは」
「意味分からんけど、そうだぜ、尋翔」
「意味分かっとらんのに、便乗すな」
酔いが醒めたのか、尋翔は自分の手前に座った悠翔の頭を軽くはたいた。
「ってぇなぁ」
はたかれた頭を押さえながら、悠翔は尋翔を睨んだ。
「おーおー、そりゃ悪かったな」
手前に自分を睨む者がいるというのに、尋翔は気にもしていない様子で、頬杖を突きながら言葉を発した。
「てめ、謝る気ゼロだろ?」
「ニホンゴワッカリマセェ~ン」
「ぜぇ!!……というか、何で廉、呼んだのか聞いてなかったよな?」
「あー?説明すんのめんどくせぇから、パース」
「あぁ?てんめぇ…」
「まぁまぁ。ケンカしないでくれよ」
険悪な雰囲気にになった2人の間を取ったのは、蚊帳の外になりかけていた廉で。
「毎度毎度なのかい?その険悪な雰囲気は」
「今のは、こいつが悪ぃだろ」
尋ねた廉に答えたのは、仏頂面の悠翔だ。
ムッスーと頬を膨らませ、頬杖を悠翔はついた。
「知らねぇし」
「はぁ?!」
廉は苦笑を1つ零した。
まるで子供のようなケンカを、本気でする20代後半が自分の親友だとは。
ホントに相変わらずなんだね、この2人は。
ギャイギャイ噛みつきあう2人を、廉は微笑みながら見ていた。