ポーカーフェイス

 歩き出して、少し経った頃。

 廉のコートの右ポケットが少しだけ振動した。


「ん?」


 ポケットをまさぐれば、振動の原因、ケータイに指が触れる。

 流れる様な操作を、歩きながら廉はする。

 メールが届いたようだ。2件。

 
「…っ。………ふふっ。早いね、やる事がさ。…」


『尋ちゃんへ。』

『悠ちゃんへ。』


 さぁ、書き出しはこんなものでいいだろう。

 どのように言葉を紡ごうか。

 無機質な画面を、ジッと見つめ、廉は微笑をこぼした。


 絶対。約束だよ。



 『楽しかったぜ。
  また、行こうな。

       絶対。

        悠翔』


 
 『ありがとな。色々と。
  また、行こう。

      約束な。

        尋翔』


 


 
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