ポーカーフェイス
自宅に着いた悠翔は、ベッドに身を預けた。
服の臭いを嗅げば、どちらかというと嫌いな煙草の臭いが染みついている。
「うえ。臭ぇ。クリーニングにでも出すかぁ?」
そんな服を脱ぎながら、脱衣所へ向かう。
普通は、脱衣所で服を脱ぐものなのだろうが、悠翔には、全く関係なかった。
脱いだ服を入れるかごを置いとく場所、として悠翔の中では認識されている。
「さぁて。ひとっぷろ浴びましょうかねぇ…」
脱いだ服をかごに投げ入れると、バスルームの引き戸を引いた。
尋翔は液晶画面を見つめていた。
そこに映るのは、今日隠し撮りした廉と悠翔のツーショット写真。2人共、いい笑顔をしている。
「楽しかった………な」
廉には、友人以上の感情を抱いている。
「恋愛感情じゃねぇぞ…」
自分で、なんか変な妄想をしてしまったことに恥ずかしさが込み上げて来る。
友達以上…。
って、なんだ?
また、妙な事を考え出しそうなので、強制的に尋翔は思考回路にストップをかけた。
液晶画面が、スクリーンセーバ機能のせいで薄暗くなっている事にも気づかず、尋翔は座っていたソファーに、更に深く腰掛け、瞳を閉じた。