ポーカーフェイス
ニュース
「ぁうっ…!うぁっ…!!っはぁっ…、っはぁ…はぁ」
うなされて起きるのは、悠翔にとって久しぶりの事だった。
うなされた原因は、あの夢。
「…夢……だ」
自己暗示をかけ、悠翔はベッドから抜け出した。
いつも寝るときは、寝巻を着ずに、下着1枚で寝る裸族な悠翔。
今日も変わらず、蛍光色の派手な下着に身を包み、ペタペタとフローリングを歩く。
冷蔵庫を開けても、何もない事は分かり切っている事のなので、コップを片手に、水道の蛇口を捻った。
そのまま、リビングへと行く。
ソファーに深く腰を下ろし、1口水を飲むと、テレビのリモコンを手に取った。
何気なく電源ボタンを押す。
「は……?」
ニュースがやっていた。
基本、悠翔はテレビを見る派ではない。
見るとすれば、天気予報ぐらいだろうが、それも数える程しか見ていない。
そのニュースで報じられていた事。
「う…そ……だ、ろ…?」
『男性殺傷事件!都内で起きた殺人』
ニュースキャスターが、抑揚無く、白い紙に書かれた文章を読み上げる。
『今日、男性が倒れているとの119番通報があり、警察が駆け付けたところ、1人の男性が死亡していました。身元は、神之間廉。警察はこの男性の…』
そこから先は耳に入らなかった。
いや、入れなかった。
「うそ……………だ…」
廉……廉……れ…………ん…。
悠翔は、泣き崩れた。